オンライン研究集会"DS2ELDiA 2022"の主催
【日時】
2022年3月14日(月)9時~17時半17時50分頃
【場所】
Zoomによるオンライン開催の予定.
※発表・参加の申込みをされた方に,URL等をお知らせしました.
【研究キーワード】 ・動的システム/システム制御/システム科学
・状態推定/状態検知
・最適化/パラメータ推定
・機械学習/深層学習/強化学習/知能情報技術
・データ科学/データ同化/時空間データ解析/予測
・マシンビジョン/自然言語理解/センサ融合
・ヒューマンセンシング/ソーシャルセンシング
・人間―機械インタラクション
・創発/知識発見/自己組織化/自律システム
・バーチャルリアリティ技術/ウエブ実装
・並列実装技術/ネットワーク実装
【研究集会の特色】 ・成果報告よりも質疑応答を重視
『発表した』という既成事実をつくる為の会合ではなく,
研究の核心部について,知見を共有し,智慧を出し合う.
・結果よりも経過を重視
『良好な結果の報告』に限らず,研究初期の構想段階から,
途中経過の報告や,困難な箇所の学術的・技術的な相談,
良好ではない結果の報告など,多様な発表を歓迎します.
・理論から応用まで幅広く
理論,方法論,実装技術,実験的デモンストレーション等,
理論から応用までを幅広くカバーし,包括的な議論を行う.
・異分野交流
異なる専門分野の発表者・参加者が意見を交換することで,
新たな知見を創発できる場を醸成する.
【当日のプログラム】
9:00~9:20
〔オープニング・レクチャー〕
「状態空間モデルにおける近似ベイズ推論と深層学習」
生駒 哲一(日本工業大学)
[概要]
このチュートリアルレクチャでは,まず,問題設定である
「状態空間モデル」と「状態推定」および「システム同定」の課題を概観する.
「状態推定」の解法は,主に,ベイズ推測に基づく.
共役事前分布となる場合には,カルマンフィルタにより厳密解が得られるが,
一般の状態空間モデルでは,必ずしも共役事前分布とはならず,
状態の事後確率分布は少数パラメータの関数では表せない複雑なものとなる.
「システム同定」の課題は,狭義では固定パラメータの推定となるが,
これには,最尤法での点推定,ベイズ推測での分布推定の,二つの流儀がある.
次に,厳密解が得られない場合の「状態推定」の近似解法として,
『粒子近似』および『簡易分布』の二つのアプローチを概説する.
『粒子近似』は,粒子フィルタや,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)などが典型である.
MCMC法は,オフライン型の一括推定を主眼とした反復法であるが,
粒子フィルタは,オンライン型の逐次推定法であり,一定量の計算で時間更新できる.
『粒子近似』における固定パラメータ推定の解法についても概観する.
『簡易分布』は本レクチャの造語で,『変分推論』や『ラプラス近似』などの総称である.
そこでは,ガウス性や独立性を想定した扱いやすい確率分布モデルを事後分布に対して導入し,
真の事後分布との相違を最小化するアプローチを採る.
典型的な変分推論としては,KLダイバージェンスで分布の相違を測り,
扱いやすい確率分布として互いに独立なガウス分布を使う「平均場近似」がある.
本レクチャでは,変分推論の定式化と解法について概説し,最尤法との関連を明確化する.
最後に,深層学習と状態空間モデルを融合したアプローチの具体例として,
"Deep Kalman Filter"あるいは「構造的推論ネットワーク」を題材に,
深層ニューラルネットワークの状態推定における具体的な活用方法をみる.
(1)9:20~9:40
「敵対的生成ネットワーク(GAN)による病理画像生成」
〇一宮 光悦,諏訪 陵弥(日本工業大学),寺澤 武(旭川医科大学),荒川 俊也(日本工業大学)
[概要]
我々は人工物を皮下に埋め込んだ際に生体組織で被包化される「カプセル化」反応を
病理学的手法で詳細に調べるために,カプセル化組織の構成要素のディープラーニング
による検出手法開発を進めている.本発表では,カプセル化組織の教師画像作成を目的として,
敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いた結果について述べる.
(2)9:40~10:00
「GAN生成病理画像の深層学習への適用が組織検出精度に与える影響の検証」
〇諏訪 陵弥,一宮 光悦(日本工業大学),寺澤 武(旭川医科大学),荒川 俊也(日本工業大学)
[概要]
我々は人工物を皮下に埋め込んだ際に生体組織で被包化される「カプセル化」反応を
病理学的手法で詳細に調べるために,カプセル化組織の構成要素をディープラーニング
による検出手法開発を進めている.本発表では,GANにより生成された教師画像を活用し,
Deeplab v3+による組織の検出を試みた結果について述べる.
(3)10:00~10:20
「状態変数を四元数表現する粒子フィルタによる自律帆船の姿勢推定」
〇中野 公瑛,橘 完太(工学院大学)
[概要]
本研究では,模型帆船での利用を想定した認知機能について,位置速度情報に対
する粒子フィルタを小型コンピュータRaspberry Piに実装し,粒子数を変えて陸
上実験を行いRaspberry Piによる計算時間と状態推定の性能を評価しました。
キーワード:粒子フィルタの性能と計算負荷,位置速度推定
※YouTube公開向け録画について
本発表は,質疑応答を含め,録画し,YouTubeで公開しますので,ご了解下さい.
もし,質疑の際の音声や画像の公開を希望されない場合は,
下記のいずれかをチャットなどでお知らせください;
①質問部分のみ非公開,質問に対する回答部分は公開可.
②質問とその回答について非公開.
(4)10:20~10:40
「粒子フィルタによる位置速度推定の計算コストと性能」
野澤 亮祐,〇橘 完太(工学院大学)
[概要]
本研究では,9軸センサから得られる加速度ベクトルと磁気ベクトルの観測デー
タからリアルタイム姿勢推定する粒子フィルタを小型パーソナルコンピュータ
Raspberry Piに実装する.
その際,状態変数を四元数表現する.推定したロール角を帆の制御に利用し,模
型帆船による水上の実機実験を行った.
キーワード:自律帆船,姿勢推定,粒子フィルタ,四元数
※YouTube公開向け録画について
本発表は,質疑応答を含め,録画し,YouTubeで公開しますので,ご了解下さい.
もし,質疑の際の音声や画像の公開を希望されない場合は,
下記のいずれかをチャットなどでお知らせください;
①質問部分のみ非公開,質問に対する回答部分は公開可.
②質問とその回答について非公開.
(5)10:40~11:00 「オクルージョンを考慮した通行者の位置推定のための粒子フィルタ適用の検討」
〇石原 優,内種 岳詞,伊藤 暢浩(愛知工業大学),岩田 員典(愛知大学)
[概要]
屋内イベントでの人数推定手法の開発に取り組んでおり,入退場者数を非接触かつ匿名化された観測情報からカウントするために2次元LiDARを用いた手法を考案した.
しかし,LiDARを用いた手法では広いエントランスでのすれ違いの際に奥の通行者を検出できない問題が発生する.
現在,このオクルージョン問題解消のために粒子フィルタを用いることを検討中である.
キーワード:オクルージョン,粒子フィルタ,LiDAR,人流推定
(6)11:00~11:30
「A Novel MIMO Signal Detection Method Using Hamiltonian Monte Carlo Approach」
萩原 淳一郎(北海道大学大学院)
[概要]
MIMOは通信速度や容量を飛躍的に向上させることのできる,モダンな無線伝送技術である.
MIMOではアンテナ本数の上昇に伴い信号検出処理の計算量増加が課題となるため,
これまでに様々な改善手法が検討されてきた.
本発表ではMCMC (マルコフ連鎖モンテカルロ) 法を用いた改善手法に焦点を当て,
HMC (ハミルトニアンモンテカルロ) 法を利用した新たな信号検出法を提案する.
提案法では離散的な信号検出の問題を意図的に連続値の探索問題に拡大解釈することで,
探索効率を向上させることができる.
シミュレーションの結果,提案法は特に変調多値数やアンテナ間相関が高く
一般に復号が困難な状況において既存手法による特性を凌駕し,
準最適な特性を達成することが確認できた.
(7)11:30~12:00
「対数尤度の比」
高橋 啓(福岡工業大学)
[概要]
対数尤度比については対数尤度の差としてリスク評価に代表される広く用いられている.
これは対数尤度比の分布が chi-squre 分布となるという古典的だが強力な結果が大きく下支えしている.
しかし,対数尤度の比についてはリスク評価等に多く用いられるものの,それが従う分布についての性質があまり明らかとなっていない.
本研究では,特に異なる正規分布に従う場合の対数尤度の比の分布について考察を行う.
(8)12:00~12:30
「時系列のトレンド・サイクル分解について」
姜 興起(新潟経営大学)
※講演者ご都合によりキャンセルとなりました.
[概要]
時系列のトレンド・サイクル分解について、最近開発した方法と応用例を紹介します。
<<昼休み>>
13:30~14:10
〔チュートリアル講演〕
「深層学習における敵対的攻撃とその応用」
川本 一彦(千葉大学)
[概要]
敵対的攻撃とは,深層モデルへの入力画像にわずかな摂動を加えて深層モデルを騙す攻撃である.
深層モデルの社会実装が進む現在では潜在的な脅威となりうるためセキュリティの観点から
研究が進められている.
一方,本講演では,敵対的攻撃の応用として「セキュリティじゃない」研究について紹介する.
深層モデルを騙すための攻撃が,実は画像特徴の獲得にとって興味深い性質を持つことを示し,
我々の応用事例を紹介する.
(9)14:10~14:40
「字形の似た文字とランダムの幾何」
松田 健(阪南大学)
[概要]
見間違いをしやすい文字のランダム生成とその応用について幾何学的に考察する.
(10)14:40~15:00
「パーティクルフィルタにおける状態欠損に対する機械学習手法の導入」
〇福島 卓弥,中島 智晴,楠木 祥文(大阪府立大学大学院),秋山 英久(岡山理科大学)
[概要]
物体追跡において観測値が欠損している状態に対し,
学習可能なシステムモデルにより状態推定を継続する手法を検討する.
提案手法では,学習時には欠損が生じない環境であると仮定する.
システムモデルは欠損が生じない環境でモデル学習し,
テスト時には欠損が発生する環境で提案手法を適用する.
数値実験を通して,欠損状態における真の位置と
パーティクルフィルタによる推定位置間の誤差が
提案手法により減少することを示す.
(11)15:00~15:20
「kd-tree を用いたデータ駆動型粒子フィルタによる物体追跡」
〇木下 浩二,宮内 慎乃介(愛媛大学)
[概要]
粒子フィルタによる物体追跡では,対象の運動モデルに基づいて粒子を遷移させる.
本発表では,蓄積された過去の追跡データから現在の状態に類似するデータを検索して,
次の時刻における粒子の状態を決定する方法を提案する.
その検索に,kd-tree を用いた方法で実装をしたので,その評価結果を紹介する.
キーワード:粒子フィルタ,物体追跡,蓄積データ,kd-tree
(12)15:20~15:40
「住宅価格推定におけるカルマンフィルタの適用方法の検討」
〇山田 慧,岡本 一志(電気通信大学),柴田 淳司(産業技術大学院大学)
[概要]
不動産業において重要な課題である「情報の非対称性」の問題に対し,多くの従来研究では,
回帰手法を用いて推定精度の高い住宅の価格決定構造の可視化を行うことで解決を図ってきた.
しかし,これらの研究では,時間経過による価格決定構造の変化について
期間ごとに独立性を仮定しており,推定時に過去の状態を反映しているモデルはほとんどない.
本研究では,カルマンフィルタを用い説明変数を状態として捉えることで,
過去の状態を反映した時間経過による価格決定構造の変化を可視化できることを示す.
キーワード:不動産価格推定,カルマンフィルタ,地理的加重回帰,説明可能性,状態空間モデル
(13)15:40~16:00
「2nd-order adjoint法を用いた動的システムスパース同定の不確実性推定」
〇羽田 充宏(大阪大学),岩崎 悟(大阪大学)
[概要]
本研究ではadjoint法をベースとした非線形システム同定手法に対して
2nd-order adjoint法を用いて事後確率分布を推定する手法を提案する.
キーワード:データ同化,スパース推定,Neural ODE
(14)16:00~16:30
「メトリックグラフ上のPDEシステムにおける効率的なセンサー配置問題」
岩崎 悟(大阪大学)
[概要]
本研究ではネットワーク構造物の異常検知につなげることを目指した理論的な研究結果を紹介する.
具体的にはメトリックグラフ上の熱拡散方程式と観測演算子のシステムにおける可観測性に関する研究結果を紹介する.
キーワード:メトリックグラフ,熱拡散方程式,可観測性
(15)16:30~17:00
「照明変動下でのパーティクルフィルタによる人物追跡」
〇土居 元紀,来海 暁,西 省吾(大阪電気通信大学)
[概要]
パーティクルフィルタを用いた人物追跡において,
人物位置と領域サイズを状態,服のカラーヒストグラムの一致度を尤度とした場合,
照明環境の変化によって追跡できない場合がある。
本研究では追跡対象のRGB値の変動係数を推定する状態に加え,
照明色変化下での安定した追跡について検討する.
キーワード:パーティクルフィルタ,照明変動
(16)17:00~17:30
「耐故障ロボット制御のためのベイズ最適化による適応的ダイナミクスランダム化」
〇岡本 航昇,計良 宥志,川本 一彦(千葉大学)
[概要]
歩行ロボットの関節アクチュエータ故障に対するロバスト制御のための強化学習法を提案する.
提案手法は,ベイズ最適化を用いて強化学習のためのカリキュラムを自動的に作成することに特色がある.
物理シミュレーションを通して,従来手法よりも耐故障性能が向上することを示す.
17:30~ 17時50分頃~
〔オンライン意見交換会〕
【意見交換会】
17時50分頃より,オンラインで開催しました.
【発表・参加の申込み方法】
申込は終了しました.ご発表・ご参加を頂き,有難うございました.
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